はじめに…

やりがいのある、ということや、仕事に付いて、森博嗣さんの視点からはどう思うのかを読んでみたくて、「「やりがいのある仕事」という幻想」森博嗣著を読みました。

読書感想

森博嗣さんによる仕事論に関するエッセイで、淡々と語られていくという点では、これまでに読んだことのある森博嗣さんのエッセイと同様です。仕事へのモチベーションを上げていく、というような自己啓発の類とは温度感が異なります。

仕事というものは、今どんな服を着ているのか、というのと同じくらい、人間の本質ではない。(「「やりがいのある仕事」という幻想」本文より抜粋)

こうハッキリと森博嗣さんに述べられると、なんとも清々しい気持ちになりました。森博嗣さんは、ご自身のお子さん達が現在どんな仕事をしているのかも知らない、と綴られており、そういったことが森博嗣さんらしくもありました。こうしたことからも、世間一般の常識、と重く捉えがちなことももう少し柔軟に考えるべきだな、と思いました。

個人的な悩みの解決のキィになるのは、一般論、客観論、そして抽象論である。何故なら、具体的なことは、本人がもう充分に考え尽くしているからだ。具体的に解決が難しいからこそ問題になるのである。それに対して、他者からどんなに言葉を飾って励まされても、得られるのは事実上ない。そこに気づいてほしい。(「「やりがいのある仕事」という幻想」本文より抜粋)

森博嗣さんの言葉は、冷淡に感じるところもありつつも、それがどうしてなのか、どこか心地よく感じるのだから不思議なものです。個人的な悩みの解決ですら、読みながら自分自身にも当てはまることだからこそ、頷かずにはいられませんでした。誰かに励まされることをどこかで期待しつつ相談しながらも、己の中では解決へと向かっていることは、よくあることです。

本当に楽しいものは、人に話す必要なんてないのだ。(「「やりがいのある仕事」という幻想」本文より抜粋)

この一文から、森博嗣さんがご自身の好きなことに関して存分に楽しんでいることが伝わってくるようなイメージが湧きました。これまでに読んだ森博嗣さんのエッセイからも随分拝見したからかもしれませんが…。

最後に…

「「やりがいのある仕事」という幻想」を読んだことで、老若男女問わず、好きなこと、楽しいものがある人は、どこか満ち足りた雰囲気や輝きがあるような感じがします。そういったものがある人でありたい、と思えた1冊となりました。