はじめに…

「えんとつ町のプペル」 にしの あきひろ著を読みました。

読書感想

大人になって疎遠になっていた絵本に触れるきっかけになったのが、「えんとつ町のプペル」です。大人が読んでも楽しい絵本が増えたことは見聞きしていたけれど、一気に読んで涙し、アンコール数回を数度行う、ということがたった数時間のうちに起こることとは想像しなかった作品でした。

 

4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました。

町はえんとつだらけ。

そこかしこから煙があがり、あたまのうえはモックモク。

えんとつの町に住む人は、くろい煙にとじこめられて、あおい空を知りません。

かがやく星を知りません。

(「えんとつ町のプペル」本文より抜粋)

ここから始まる「えんとつ町のプペル」は、幻想的な絵、言葉、英文が記載されている「えんとつ町のプペル」は、1ページごとに捲ることが楽しみになる1冊です。

夜空をかける配達屋さんが、煙をすってせきこんで、配達中の心臓をうっかり落としてしまったことから、ゴミ人間が生まれます。そして、えんとつそうじ屋のルビッチという少年によって、そのゴミ人間が、この作品のタイトルにもなっている”プペル”と名づけられます。

ゴミ人間が、1人の少年と出会ったことで始まるストーリーは、時に悲しく、また心温まる展開が待ち受けます。

「えんとつ町のプペル」の帯にも記載されている「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」は、プペルと友情を紡ぐ少年・ルビッチの亡き父がルビッチへ語った言葉でした。この言葉は、町でたった1人の漁師であったルビッチの父が、遠い海の上で見た星の存在をルビッチに語り、町の人々にうそつき呼ばわりされたまま死んでいったという悲しい思い出も含まれています。

冒頭文にもあった通り、昼夜問わず煙に覆われた町に暮らす人々にとって、煙に包まれた空や町の景色こそが日常の当たり前で、それ以外の景色がどこかにあることを信じられないのも無理はないのかもしれません。

読みながら、自分自身にとっての当たり前の日常や景色だとかに置き換えて考えてみました。自分にとって当たり前のこととしてまかり通っていることが全てではない、と心のどこかで思っているとしても誰かに言われることでそれをそのまま受け入れたくはない、というエゴが出てしまうのが大人なのかもしれない、と思いました。

また、ゴミ人間であるプペルと毎日のように遊んでいたルビッチは、ある日のこと学校でイジメられてしまい、このことがきっかけで、プペルと会わなくなりました。その後、あるしずかな夜、ルビッチのもとへ、すっかり変わり果てたプペルが姿を現します。プペルに言われるがまま、ルビッチは人がよりつかない砂浜へたどり着きました。

そこで壊れた船にプペルが膨らませた風船を結びつけて、煙の上にある星を見に行くことになることで話が進んでいきます。風船を結びつけた船は、煙を越えて星の輝く夜空へと届き、星を眺めるルビッチに、プペルが帰るときの注意を語り始めます。

ここで、ルビッチは毎日プペルがルビッチが失くしたペンダントを探していたことを知ります。

「キミが『なつかしいニオイがする』といったときに気づくべきだった」

プペルは頭のオンボロ傘をひらきました。

「ずっと、ここにあったんだ。」

(「えんとつ町のプペル」本文より抜粋)

ルビッチが失くしたものをルビッチと会えない日々が続いていた間もずっと探していたプペルを思うと感情移入せずにはいられないシーンでした。ルビッチの探していたものが、プペルの身体の一部となっていたことで、プペルがペンダントを身体が引きちぎろうとするところもまた泣けます。

「かまわないよ。痛みはふたりでわければいい。せっかくふたりいるんだよ」

(「えんとつ町のプペル」本文より抜粋)

このルビッチのセリフは、予想がつきそうなものでしたが、やっぱりセリフとして表れるとグッと込み上げてくるものがありました。プペルがペンダントをひきちぎろうとするのを止め、これからは毎日プペルと会うことを約束するところには、命の尊さ、友情が言葉で描かれなくとも伝わってくるものがありました。

「やめてよルビッチ。はずかしいじゃないか」

そういって、ひとさし指で鼻のしたをこすったのでした。

(「えんとつ町のプペル」本文より抜粋)

ルビッチからプペルと出会えたことの喜びを伝えられて、照れるプペルの姿を見てルビッチは、プペルの正体を知ることができたのでした。ゴミ人間としての姿ではあるものの、ルビッチにとってはかけがえのない存在であることに変わりなく、プペルの身体の一部となったペンダント以上の嬉しい発見だったのかもしれないな、と思いました。

最後に…

「えんとつ町のプペル」を読んでみて、絵が美しいだけではなくて、ストーリーや登場人物たちの言葉から考えさせられる絵本がある、という1つの作品に出会えたことを嬉しく思います。

 

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