はじめに…

「あのとき食べた、海老の尻尾」木村衣有子著は、数年前に購入して以来、1年に数度ふと読みたくなる1冊です。

読書感想

「あのとき食べた、海老の尻尾」は、食べ物にまつわるエッセイなので、テーマごとに食欲をそそられるのはもちろんのこと、食べ物にまつわるエピソードの数々に惹きつけられます。

読むときによって、心に留める箇所が異なることも楽しめる話ばかりです。

思い出がくっついてからの食べものは、輪郭をよりくっきりさせはじめるようだ。

思い出せばいつでも小さく笑えることでも、思い出すと旨がきゅうっと絞られることでも。どんな思い出も、食べものをより豊かにする力を持っている。(「あのとき食べた、海老の尻尾」本文より抜粋)

木村衣有子さんの言葉から、たしかに「美味しかった」と思う食べ物の思い出に、誰かと一緒に食べた思い出が加わっているものの方が、より記憶として鮮やかに覚えているものが多いことにはたと気づかされました。

夕食よりも、朝食のほうが、よそのうちに居るんだなあ、ということがしみじみと感じられる。

よその家にての朝食は、いつだって、いつもより沢山、食べてしまう。

朝食がおいしい家は、まぶしい。そのまぶしさに目を伏せれば、また眠たくなってしまうのだ。(「あのとき食べた、海老の尻尾」本文より抜粋)

誰かの家に泊まっていることをより感じられるのが、朝食であることは言われてみればそうかもしれない、と思いました。

親戚の家だとかでも、夕食だと賑やかに過ごして、就寝し、朝目覚めたときの空気感に自宅のものとは異なるものを感じつつ、皆で朝食を取るときの雰囲気をふと思い出しました。

最後に…

「あのとき食べた、海老の尻尾」では、日常のどこかで体験したことがあるかもしれないような何気ないことや人との出会いややりとりだとかに親近感を覚えるようなことが、いくつもちりばめられている1冊です。