はじめに…
「女性版『孤独のグルメ』マッサージ編」という野宮真貴さんの言葉からも、期待高まるジェーン・スーさんのエッセイ、「今夜もカネで解決だ」を読みました。
読書感想
ジェーン・スーさんのエッセイのタイトルは、やや癖のある言葉が並ぶところに魅力とキャッチーさが佇んでいてグッと胸を鷲掴みされるかのような魅力があるな、と常々思っています。
凝り固まった身体と心をほぐすべく、都内近郊の様々なマッサージ店へ足を運ぶジェーン・スーさんのエッセイ「今夜もカネで解決だ」は、マッサージやリラクゼーション好きには、共感する部分が多々見つかるエッセイでもあります。
お店の雰囲気や立地のこと、施術者の様子や技術面のみならず、マッサージ店あるあるが記述されていることで、ジェーン・スーさんへの親近感が増しました。
「人の手」だけが持つ魅力とは、こちらの体を気に掛け、改善のため力を尽くす施術者の気持ちに宿るのだと私は信じています。
(「今夜もカネで解決だ」本文より抜粋)
「今夜もカネで解決だ」の本文では、ジェーン・スーさんがマッサージ、ヘッドスパやヨモギ蒸し、鍼灸、ドイツ式フットケア等いろんなジャンルのケアを受けているからこその気づきが述べられていました。
体が冷えていると、不必要なまでにネガティブになることありませんか?私はよくあります。そんな時は岩盤浴に限ります。心の不調は体の不調から。まずは芯から体を温めましょう。
(「今夜もカネで解決だ」本文より抜粋)
体の冷えは、私も気にし続けているので、まだ試したことがない岩盤浴に興味が湧きました。「今夜もカネで解決だ」を読んでいると、試したことがないマッサージが多々あることだけではなく、マッサージの種類以上に、マッサージを求めている人の多さを考えました。
私自身も、数年前までは相当マッサージ店へ通っていたので、マッサージ店のありがたみは数知れずです。
労いのホスピタリティーとかしずきのホスピタリティー。これは似て非なるもの。前者は双方の立ち位置に上下はなく、後者には明確にそれがある。
(「今夜もカネで解決だ」本文より抜粋)
まさか、マッサージ放浪記でもあるエッセイから、ホスピタリティーのあり方、振る舞いについての違和感が綴られているとは思いもせずでしたが、これはジェーン・スーさんの気持ちを想像するに難しいものではありませんでした。
私自身も、かつて接客業をしていた際、ホスピタリティーのあり方で時折疑問に思うことが多々あったので、ジェーン・スーさんの言葉から、これまでの疑問がスッと解消されたように思います。
大丈夫、AIがどんなに幅を利かせても、マッサージ業界における人の手の需要がゼロになることはないでしょう。機械はこちらの心までは癒してくれないのだから。
(「今夜もカネで解決だ」本文より抜粋)
昨今、なにかと言えばAIの進化で将来無くなる職業というのが話題になるけれど、マッサージはたしかに人の手に勝るものはないと思います。
マッサージチェアの絶妙な力加減は癖になるものがありますし、セルフケア系のツボ押しグッズも便利なものがあるけれど、人の手で施術されるマッサージは、ぬくもりや力加減だけではなく気持ちが伝わってくるような不思議な感覚と気持ちよさがあります。
最後に…
「今夜もカネで解決だ」を読んでみて、気軽に立ち寄れるマッサージ、自分へのご褒美にしたいマッサージ、友人へのお祝いを兼ねたマッサージ、後輩をなぐさめるマッサージ、マッサージは、凝り固まった身体のみならず、心をほぐすものでもあることを気づかせてくれる1冊となりました。
また、「今夜もカネで解決だ」を読みながら、久しぶりにマッサージ店へ行きたくなりました。
今夜もカネで解決だ [ ジェーン・スー ] |