ずっと気になったままでいた、能町みね子著「お家賃ですけど」を読みました。

「お家賃ですけど」は、能町みね子さんが暮らしていたアパートでの大家さんのこと、他の住人のこと、周辺の風情であったり、まわりの人々とのやりとりなどが綴られたエッセイです。

アパートの佇まいであったり、大家さんの人柄などへの能町さんの気持ちが、文章の端々からたくさん溢れているようでした。

ついついひとりで生きてしまおうとするので、もっと人に頼って生きてよい。

(「お家賃ですけど」本文より抜粋)

本文の中では、能町さんご自身の心身の状態のことにも触れられていることからも、どういう日常を過ごされていたのかも垣間見ることができました。

牛込、神楽坂周辺には、ほんの数回しか行ったことがないけれど、能町さんの暮らしを本文から読み進めるにあたり、のんびりと訪れてみたくなりました。あまり詳しくない土地だからこそ、想像を巡らせて町並みをイメージしながら読み進めるのも楽しく、能町さんと大家さんとのやりとりも微笑ましいものに見えました。

何年も前の作品であっても、色褪せることなく伝わってくる誰かの日常は、時に心地よく自分の暮らしとは違うものだからこその何かがあって、自分に足りないものを気づかせてもくれるものなのかな、と思える1冊でした。