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【読書感想】金沢つくも神奇譚~万年筆の黒猫と路地裏の古書店~

読書

「金沢つくも神奇譚~万年筆の黒猫と路地裏の古書店~」編乃肌著を読んだ。

タイトルからもわかる通り、古都金沢を舞台にした物語、ということで本書を読んでみたくなった。

本書の主人公である玉緒は、あることがきっかけで勤めていた会社を退職し、故郷の金沢へ帰ったことから始まる。

玉緒は、帰郷すると実家にて、作家であった祖母の書斎で、祖母が愛用していた万年筆を手にしたことから、その万年筆のつくも神である黒猫のマネと交流するようになる。

マネとのやりとりから、祖母が生前完成することが叶わなかった、つくも神たちの物語を完成させることを決意した玉緒は、マネと共に金沢にまつわる伝統工芸品などのつくも神たちと出会い、それぞれの物語をインタビューすることを始めた。

作品の中では、周囲の空気を読み過ぎてしまう玉緒がいじらしく思えるところがあったが、古書店の主人である鴇と出会ったこと、マネとのやりとりから、だんだんと自分の意志で行動したり発言するようになる。

つくも神とやりとりする、ということを玉緒の祖母が生身の人間と触れ合うことと、同様にこなしていた、ということが、このストーリーの中で、主人公を成長させることや他者とのやりとりにも一役買っている。

作中でも主人公が終盤で語っていたが、自分が大切にしているものを、誰かが悪く言うこともあるが、自分が大切にしているのであれば、誰かの言葉など関係ないのだ。

つくも神たちも、物を大切に扱う人があればこそ、気持ちにハリが出てくるものだろうな、というようなことを作中で、幾度も遭遇した。

見えるもの、見えないものの違いはあれど、見えなくても信じるほうが楽しい、と作中の登場人物が話していた。

私も、その通りだと思う。

つくも神たちとの出会って見聞きした、それぞれの物語を、ついに玉緒が小説として描き始めたところで本書が終わる。

本書は、金沢を舞台にしている物語だからこそ、実在する金沢の名所、名品、グルメなどが登場し、数年前の金沢旅行にて訪れたことのある場所を思い出したりもする良い機会にもなった。

行ったことがない場所、食べたことがないものなどは、またいつか行く時の楽しみにしたい。