「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」花田菜々子著を読んだ。

SNSと紐づいたサービスが増えた、とはいえ、SNSで出会ったのではなく、SNSと紐づいた出会い系サイトで出会った人々に、著者がその人のイメージなどから合いそうな本をすすめる、ということ1年間続けた、という著者の実体験をもとに本書が綴られているから、驚きだ。

出会い系サイトで出会った人々とのやりとりが始まったのは、仕事関係での悩み、夫との別居などがきっかけだったそうだが、出会い系サイトで出会った人々とやましさのない関係を築けるのは、単純に凄いことだと思う。

こんなふうに楽しい会話の中で、「この人に絶対あの本を読んでほしい!」というのが自然に浮かび上がり、それをいい形で紹介できたことにもうれしさが込み上げた。

(「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」本文より抜粋)

出会い系サイトと聞くと、恋愛対象あるいは肉体関係を持ちたい相手と出会う、というようないかがわしさを思い浮かべていたが、本書に登場する出会い系サイトでは、やましい気持ちのある人もいることはいるだろうが、いろんな人と出会い、関係や信頼を築ける場所でもある、という印象を持った。

いつ誰と会うか、というアポイントメントを取った後、どんな時間を過ごすのか、は行ってみないとわからない。

本書の中でも、楽しいことばかりではなかったことを、著者が記述している。

最初会ったときは、自由な雰囲気がかっこよく見えていた彼ら。でも、すいすいおしゃれに生きている人なんて、本当はどこにもいないんだ。

(「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」本文より抜粋)

出会い系サイトを通じて、著者はいろんな人と出会い、今まで出会うことがなかった業界の人たちとも繋がりを持ち始めると、イメージしていたものと現実が異なることを知る。

誰しもが、キラキラ輝いている他人を見ては、羨んだり、妬んだりする。

 

その裏側にある努力なども考えもせずに、ただ表面だけを見ていることもある。

自分以外の誰かの努力や苦労ほど、理解しなかったり、想像しない、ということばかりだ。

だけど、誰かと言葉を交わしたりすることで、自分以外の誰かに何かがほんの少しでも伝われば気持ちが楽になることもある。

出会い系サイトを通じて、見ず知らずの誰かと時間を共有し、その誰かにぴったりな本を紹介する著者の姿は、いつしか本を紹介するイベントを主催するまでに変化する。

著者は出会い系サイトを通じて、実際に会った人に読んでほしい、とかイメージに合いそうだなという本を紹介し続けたことで、自分が楽しめることを見つけたり、仲間と呼べそうな人と出会ったり、転職を叶えている。

失ったものもあるだろうが、やはりやりたいことをやってみる行動力がある人は、キラキラしているようにも思えるし、本書を読んでみて、勇気みたいなものを貰えた気がする。