【読書感想】わるい食べもの

読書

「わるい食べもの」千早茜著を読んだ。

著者の千早茜さんの作品は、まだ読んだことがないものの、食べものにまつわるエッセイだと知って、本書を手に取った。

千早さんが子供の頃過ごしたアフリカでの食生活のこと、現在の生活での食べもののこと、食べもの以外のこと等が記述されていた。

恋愛傾向が食に関する捉え方と結びつく、というような話もあり、どのテーマも楽しめた。

食べものの話を見聞きするのは、やはりおもしろいと気づかせてくれる千早さんの言葉たちは、食道楽の人だからこそ紡ぎだされたものなのだろう。

ひとり旅は情報量が増える。

それは旅日記を読み返すとよくわかる。ひとりでいると、たくさんのことが入ってくる。

隣の席の会話、地元の人の視線、テーブルのべたつき、地図にない路地、空の色、肌に触れる空気、そして匂い。

(「わるい食べもの」本文より抜粋)

私は、ひとり旅に行ったことはないが、ひとりで出かけること、ひとりで過ごすことが好きだ。

千早さんの言葉にもあるように、ひとりきりだからこそインプットされる情報量は多くなる。

誰かといると楽しいこともあるが、ひとりで過ごすからこそ気づくこと、目を向けることがある。

その楽しみを知ってしまうと、ひとりで出かけることが苦ではなく、むしろわくわくする。

みんな同じ外見ではないように、食への姿勢も味覚も人それぞれ違う。

胃袋も味覚もその人だけのものだ。

食べ過ぎようが、偏食しようが、食べてなにを思おうが、その人の勝手だ。

自由という味を堪能する権利が人にはある。

(「わるい食べもの」本文より抜粋)

世の中には、誰かのことに口出しせずにはいられない人、という存在がある。

そういう人たちとうまくやりとりしよう、などと思ってはいけない。

距離を置く、できるだけ関わりを持たないようにするしかない。

自分で自分を守るしかないことが前提ではあるが、自分の楽しみは自分のものとして鋼の心を持ちたいものだ。

本書では、美味しい食べものの記憶だけではなく、贔屓にしていた店が閉店してからのこと、食に関する考え方の多様性等、美味しい不味いという感想を述べること以外のことを考えさせられた。

私は、著者ほどではないが、食べることが好きだ。

自分の好きなものを好きと主張しつつ、自分の好奇心をそがれることにはきっぱりと断りを入れられるような心持ちでいられるようにしたい。

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