「眠りの庭」千早茜著を読んだ。
本作は、女子校を舞台に、臨時教員として採用された萩原が、美術準備室で見つけた1枚の絵から物語が動き始める。
女子校ならではの姦しさ、思春期特有の女の子たちの姿がところどころで描かれていた。
物語の中心に存在し始める小波という女性の姿は、ほんの少し前まで女子高生だったとは思えないほどの落ち着きを見せ、独特の雰囲気を醸し出している。
小波は、萩原を始め、周りの男たちを狂わせるほどの魅力がある。
男たちが放っておけない存在、という女性のもつ雰囲気は、息苦しさを感じずにはいられない。
誰かと群れることが全てではないが、凛とした姿を想像させる小波を羨ましいとは思わない。
おどろおどろしいような空気をまとった物語は、読み終えてもなんだかすっきりしない。