「ままならないから私とあなた」朝井リョウ著を読んだ。

本書は、表題作「ままならないから私とあなた」のほかに、
「レンタル世界」 という作品が収録されている。

「レンタル世界」は、主人公が出席した先輩の結婚式で、一目惚れした女性と、ひょんなことから再会したことで、「レンタル友達」や「レンタル彼女」といったレンタルサービスがあることを知る。

見たまま、感じたままの人間関係が、本当にあるべき世界ではない、ということを考えさせられる。

「ままならないから私とあなた」は、雪子と薫の2人の関係が小学生から24歳頃までを描いている。

同じものを見聞きしていても、異なる捉え方をしていることがわかる2人の姿は、自分と他人が異なるからこそ面白い、と思えた。

また一方で、自分と他人が異なるからこそ、他人との繋がりを極度に避ける人がいることにも気づかされた。

合理的なこと、画期的なことなどは、言わずもがな便利でありがたい。

しかし、本編で雪子が述べていたが、不便だからこそ生まれるものもある。

いずれの作品も、自分と他人がいつでも良好にわかり合えるわけではないし、時にぶつかり合うからこそ深まることもあれば離れていくこともある、ということが描かれている。

大切な相手だからこそ、自分の思っていることを全て打ち明けることが怖かったりもする。

相手が必ずしも、よき理解者であるとは限らない。

だからこそ、相手との絆、というものが深まるかどうかを試したくなりもする。

自分と他人が、どんなに親密になっても、乗り越えられそうなことのか、はたまた遠ざかるきっかけになるのか、とも捉えられる物語と出会った。