「今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います」夕鷺かのう著を読んだ。
まず、書店の陳列棚で本書を見た際、さわやかなイラストとは真逆な印象のタイトルだな、と思った。
しかし、カバーイラストをよく見ると、ベッド下には異様な雰囲気を醸し出すようにドリンク剤のボトルが並んでいることに気づき、いわゆる胸糞な内容が含まれるであろうことを予想した。

本書には、表題作「今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います」のほかに、「天井の梁」、「引き継がれ書」という作品が収録されている。
いずれも、職場で起きている理不尽な上司と主人公、同僚たちの姿が描かれている。
本書に収録されている作品はどれも、上司からの不要なほどの当てつけ、嫌がらせなどの迷惑行為、ハラスメントの数々が描かれている。

それぞれの主人公たちが、上司からの理不尽な言葉、対応などがあった際、縁切り神社の話が描かれていたのも、印象的だった。
誰かに恨みを買うような人は、いつかは自分に返ってくるもの、と信じたくもなるし、それは日々の出来事の積み重ねなのだ。
自分自身が理不尽な上司と接していた、かつての職場での出来事が脳裏をかすめたりもしたし、気持ちの良いラストではない物語ばかりかもしれないが、ハッピーエンドではないものも、たまには良い。