「世界のへんな肉」白石あづさ著を読んだ。
本書は、著者が世界を旅した際に、食べた様々な動物の肉との出会い、思い出を綴ったエッセイだ。
動物園で見たことがある動物、ペットとして親しみのある動物、日本では絶滅危惧種とされている動物や天然記念物指定されている動物など、著者が食べた様々な肉が、大陸ごとに分けられて記述されていた。
日本では食べる肉として認識されていない魚や動物たちの肉の味だけではなく、国ごとに出会った人々との出会いなども綴られていて、それらが思い出として紐づいていることが伝わってきたし、著者の好奇心旺盛さなどが窺えた。
本書では、もし牛、豚や鶏が地上からいなくなることがあったとしても、自分はなんとか生き残れそうだ、と著者が述べていたが、読み終える頃には、その著者の言葉が意味することに合点がいった。
ある動物をかわいい動物だと思っていたとしても、たった一度でも口にしてしまえば、その味を知ってしまう。それ故に、動物をかわいいと思う一方で、食料としても見てしまうことがある、というのは、なんとなく想像できるような気がくるのだから不思議だ。
また、どのテーマにも、著者によるイラストが添えられていて心和んだ。
本書を読んでみたら、食べたことがない動物の肉の味を想像する、ということが思いのほか楽しめた。本書の内容と意味することがやや異なる部分もあるかもしれないが、昨今では、ジビエというものを見聞きすることが増えてきたこともあり、興味がそそられる内容だった。