「五つ星をつけてよ」奥田亜希子著を読んだ。
本書は、表題作「五つ星をつけてよ」を含む、6編が収録されている。
どの話も、誰かを評価したり、自分が評価される側だったりする人々のストーリーであることが共通する。
ストーリーごとに、自分の胸の内で一方的に相手を評価していたり、SNSやブログを通じて、評価したり、評価されたりしている。
表題作「五つ星をつけてよ」を読むと、いかにインターネット上に溢れる見ず知らずの誰かのクチコミに惑わされているか、が読み取れる。
ネットストアで買い物することが、珍しくなくなった時代だからこそ、身近な人々のクチコミのみならず、インターネット上で目にするクチコミで購入するかどうかが左右されたりする。
「君に落ちる彗星」では、匿名掲示板ならではの話が盛り込まれている。
本書に収録されている作品を読み進めていくごとに、誰かへの勝手な思い込みほど、自分を苦しめることが多々あることに気づかされる。
また、そうではないと良いな、と思う不安要素のあることほど、見知らぬ誰かの言葉でも良いから、自分を救う一手にならないものか、とすがりたくもなる、ということも作中の登場人物に思いを馳せるなどした。