「丑之刻子、参ります。」黒史郎著を読んだ。

本作品は、主人公であり、代々呪詛師の家系で生まれた丑之刻子が、 昼間は某企業でOLとして働く馬野時子の姿を持っている、というところが、なかなかインパクトがある。

呪詛師の顔、OLの顔を持つ刻子は、独特の感性の持ち主であるのは、呪詛に携わっているからだけではないのかもしれない。

刻子は、丑之家の人間として、跡継ぎを産むことを死んだ母からも幾度となく言われていることを気にしており、厄年までに産まねばならない、というタイムリミットを抱えている。

誰かを愛する、という感情がわからないという刻子のことが好きだ、という同僚の男性とのやりとりを繰り返すうち、愛情だとかがどんなものなのか、をわかり始めた刻子の心情の変化は読みどころかと思う。

本作品を読んでいると、呪詛についてや呪詛で使われるもののこと等を知ることができたのも、ちょっとした収穫になった。

迂闊に手出しするようなものではないが、こういうことにすがるほどの感情を抱えた人も存在するのだな、ということをフィクションとはいえ、思い浮かべるなどした。