「岩窟姫」近藤史恵著を読んだ。
本作品は、ある人気アイドル・沙霧が自殺してしまい、突然のことに親友でありモデルでもある主人公が自殺の原因ではないか、と取り沙汰されることから始まる。
主人公であるモデルの蓮美は、沙霧の死についてのゴシップを所属事務所の人などからも信じてもらえず、引きこもり生活を続けている。
そんなある日、蓮美は、同じ所属事務所を退社したチホと連絡を取ったことから、沙霧の死の真相を探すことを決意する。
チホの協力のもと、蓮美は真相探しを始めるが、身の回りで不可解なことが起きるなどする。
ひょんなことからコンビニで出会った男性に手助けされるなどしながら、蓮美は真相に辿り着く。
本作品を読んでいると、一見きらびやかな世界に見える芸能界の仕事は、登場人物たちが作中述べているように、常に椅子取りゲームが行われていて、ポジション争いのせめぎ合いだということが伝わってくるような描写がある。
人としてではなく、商品として扱われるなど、理不尽な思いをする場面も多いだろうし、過度なストレスにさらされることばかりだろう。
自分が希望して足を踏み入れた世界だろう、と言うには、あまりにも残酷過ぎる現実にさらされることもあるかもしれない。
想像ばかりするしかない縁のない世界ではあるが、ファンに夢を売る仕事というものの光と影のようなものを垣間見たような気持ちになった。