ランチタイムともなると、列が絶えない人気店は、並んででも食べたくなる味なのか、それとも賑やかしなのか、と下衆なことを考えることがある。
武膳・神田小川町店は、間違いなく並んででも食べたくなる味と出会える店の1つだ。
武膳は、九州・豊前うどん専門店である。
なんでも、九州・豊前うどんを東京進出させた店、でもあるそうだ。
武膳では、温かいうどん、冷たいうどん、いずれも豊富なメニューが揃っている。
季節のメニューなどもあり、訪れる度にどれを食べようか、と迷うほど、食指をそそられるものばかりである。

私は、これまでに少なくとも10回は訪れているはずだが、名物メニュー・ごぼう天うどんを食べたことがなかった。
特別理由はないが、食べる機会を失うことほどもったいないことはない。
今回は、少々大袈裟な表現ではあるが、ほかの誘惑を断ち切って、ごぼう天うどんを注文した。
一般的であろう丼のサイズを優に超える、見事なごぼう天は、インパクトがある。
どう食べようかと思いつつも、1枚ずつはがしながら、ごぼう天をいただいた。
ごぼう天は、ごぼうらしい食感を味わいつつも、どこか野生的な風味を感じる。
うどんは、ツルツル、しこしこと文句なしに美味しい。
武膳の魅力は、うどん自体の旨さももちろんだが、つゆの味が好きだ。
キラキラとした液体である、つゆの味が1滴残さず飲み干したくなる絶妙な味わいなのだ。
このつゆの味を楽しみたくて、多少の待ち時間ならば、と順番を待つ列に加わりたくなる。