「「処方せん」的読書術 心を強くする読み方、選び方、使い方」奥野宣之著を読んだ。
本好きであれば、本を読んで気持ちを高めたり、心を落ち着けたりすることが誰しもあることかと思う。
本書を読むことで、これまで出会った“読書術”とは、異なる読書体験のもたらすものなどに気づけるのかもしれない。
「ある程度、関心をもっていることを扱った本」より、「読む理由はないが、なぜか心引かれる」という本のほうが、不安をうっちゃるのに使えるということです。
「「処方せん」的読書術 心を強くする読み方、選び方、使い方」 本文より抜粋
この言葉には、身に覚えがあった。
なんだかモヤモヤする時ほど、著者のように私も書店へ足を運ぶことが多い。
どこのコーナーとも決めず、ただぼんやりとあちこち書店内を歩き回る。
すると、普段よく足を止めるジャンルとは異なるところで、妙に気になる1冊と出会うことがある。
そこで気になった本は、購入して読み始めると、思っていた以上に読後の満足度が高いことが多々ある。
本棚をはじめ、本の並び、本の積み方は、自然に意味を持ってきます。
その意味は、無意識のうちに頭にすりこまれる。
こう考えれば、背表紙の力はあなどれません。
「「処方せん」的読書術 心を強くする読み方、選び方、使い方」 本文より抜粋
この箇所は、著者が訪れた本屋でのエピソードに絡めたものではあるが、自分の本棚にも通じる。
本を読み終えて棚に並べていく時、ふとタイトルに目を向けたりすると自分が好きなものの傾向がよりハッキリする。
それに、タイトルで購入する際に、どんな言葉に惹かれるのかも気づいたりするから、おもしろい。
心の支えとなる読書体験には、「この本は自分のために書かれたに違いない」という
ファンタジーが必要なのです。
「「処方せん」的読書術 心を強くする読み方、選び方、使い方」 本文より抜粋
心が弱っている時に出会う本ほど、ファンタジー要素が必要かもしれない、と思い当たる節はいくらでもある。
私も自分が探していたような気がしてくる内容と出会えた本ほど、ファンタジー的な発想をしがちなのは否めない。
本書を読んだことで、読書は文字を追うことばかりを求めてはいけないな、と再認識できた。
また、本のことばかりではなく、書店通いのことだったり、本棚からわかることなども記述されているのも良かった。