「ぶたぶた」矢崎存美著を読んだ。
本書は、バレーボールくらいの大きさのかわいいぶたのぬいぐるみ、の山崎ぶたぶたと出会った人々の物語を集めた短編集だ。
山崎ぶたぶたは、とってもかわいいぶたのぬいぐるみだけれど、ある時は会社員、レストランのシェフ、はたまたタクシードライバーなど、物語によって仕事も様々である。
かわいいぬいぐるみだけではない彼の存在は、どの物語でも心が温まるエピソードもありつつ、どこか切ない。
山崎ぶたぶたは、ぬいぐるみだからなのか痛覚がないようで、危ない目にも幾度となく遭遇しているだろうに、そう感じさせない逞しさのようなものが物語が伝わってくるような気がした。
収録されている短編の物語たちが、どこかとどこかで繋がっているようなところもあって、じわじわと楽しめた。
かわいいだけのぬいぐるみではない山崎ぶたぶたの話を、もっと読んでみたくなった。