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【読書感想】お母さん二人いてもいいかな!?

読書
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「お母さん二人いてもいいかな!?」中村キヨ著を読んだ。


本作品は、著者と妻による“婦妻”と子ども達の生活を描いたコミックエッセイだ。

私は、本作品の前日譚シリーズを先に読んでいたことから、前日譚シリーズで読んだ様々なエピソードが本作品と繋げていけたのも良かった。詳細はコチラ↓

家族のこと、夫婦のこととなると、重苦しい雰囲気をまとうことも多いが、中村キヨさんの言葉を介すことで、私は概ね咀嚼できたかな、と思える捉え方を吸収しているつもりだ。

本作品では、中村キヨさんご婦妻の日常をはじめ、中村キヨさんの前妻の友人なども登場した。

中村キヨさんの奥様や彼女たちは、なかなか言葉にするのをためらうようなことも、面と向かって述べることができて、カッコイイなぁ、と思う。世の中は綺麗ごとばかりではないからこそ、軽蔑されるかもしれないようなことを含めて言うべきことを言って、必要ならばフォローすることまでできる人こそ、信頼できそうな気がしている。

先生が子持ちの人と再婚するって知った時

サツキさんに対して

「レズでさえ妊娠できたのに!!!」

って思っちゃった

ごめん

「お母さん二人いてもいいかな!?」本文より抜粋

これは、作中で中村キヨさんの前妻の友人・香奈子さんが、中村キヨさんと会った時の発言だ。1人で抱え込みきれなくて、やむを得ず、中村キヨさんへ吐露した香奈子さんの姿が、少しだけ自分と重なるなどした。

自分の叶えたいこと叶った人は羨ましいし、

叶わない願い事持つと重たいし

羨望に苛まれる自分を認めるのも苦しいことですよ

「お母さん二人いてもいいかな!?」本文より抜粋

先に引用した香奈子さんの発言に対して、中村キヨさんの返答が上記のもの。誰かの発言というものは、予測がつかないものだけれど、咄嗟の対応として上記のような言葉が出てくるのは、凄いな、としか言いようがない。

誰しもが叶わないものを何かしら抱えていて、なんていうのは、どこかで聞いたことのある言葉。自分が誰かを羨む傍らで、自分もまた誰かに羨まれているもの、とも言うことがあるけれど、慰めの言葉ほど上手くできた試しがない。

本作品は、どうしても重く感じてしまうこともあるかもしれないが、異性愛や同性愛とカテゴライズする前に、誰かの親になることとして読んでみると、その周りにある事象が親しみを覚えるのではないか、と思う。

例えば、中村キヨさんの奥様であるサツキさんの産後うつのことも描かれているが、産後の様子を見て専門医のところに行ってみよう、とパートナーに声をかけることができる人って、どれくらいいるのだろう、と考えたりもした。

また、中村キヨさんご婦妻と子ども達は、自宅にあるホワイトボードで、その日の感情や予定などを家族に知らせるような仕組みがある、という。家族の誰かの気持ちなどを尊重する、という捉え方を私は、この家族、中村キヨさんのいくつかの作品から学んだようなところがある。

私は、まだ誰の親でもないし親になるのかもわからない。けれども、親が子どもに教えられることを真摯に伝えていく婦妻の姿から、愛だとかいろんなことを本作品から読み取れた。