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【読書感想】現代百物語 終焉

読書
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岩井志麻子さんによる現代百物語シリーズ第10弾「現代百物語 終焉」を読んだ。この現代百物語シリーズは、岩井志麻子さんの友人・知人・友人から聞いた実話、岩井志麻子さんが体験した実話をもとに、人物や環境などが特定されぬよう脚色された怖い話が語られている。


現代百物語シリーズは、本書で最終巻になる、とのことでちょっと名残惜しいような気がしている。別のシリーズを始める為の準備をなさっている、というようなことがあとがきに記されていたことからも、また岩井志麻子さんが語る話を読みたい。

本書では、相変わらず生きた人間の怖さが語られていた。血のつながりある家族であっても、すべてを語ってもらえるわけではない、というような怖い話もあった。

その家族だけしか知らない、その土地の限られた者しか知らない言い伝えなどにある事象が起こった時の対処をしないと乗り越えられないものがある、というのは怖い、と思う話もあった。この話からは、文献やインターネット検索をしても見当たらないものほど、どうしようもない恐怖や不気味さなどについて考えてみたりもした。

あとがきで述べられていたもので、ただ夢の中に死んだ親類が出てきた、だけでは夢の話であり、そこから一歩踏み出して、現実と結びついたものが実話怪談になる、というものがあった。全くその通りで、夢物語ほどつまらぬものはなく、そこから繋がる現実の話があってこそ、聴衆が集まるもの。そうわかっていても、怖い話に繋がっていく人ばかりではない。

実話怪談は、気づかないまま過ごしている者には、ありふれた日常が続いていく。あれ?と思うようなことがない限り、実話怪談にはならない平凡な日々。

怖い話は、それなりの対処をしたりできないのならば、やたらと欲しがるものではないな、と思った。