「湘南人肉医」大石圭著を読んだ。
本作品は、湘南にある某クリニックで勤務する整形外科医の主人公が、人肉を食べるために殺人を繰り返す、というストーリーだ。
整形外科医としての主人公は、神の手を持つ医師として、美容整形を望む患者たちにとってはなくてはならない存在だ。
クリニックでの医師としての主人公の姿であったり、食べ物を食べること、料理をすることが好きというところだけを眺めているだけならば、ただの大食漢といった印象すらある。
殺人を繰り返している罪滅ぼしのようなつもりで、海外の恵まれない子どもたちを支援し続けている描写を読んでいると、この人が人肉を好き好んで食べているのだろうか、とすら思えてくる。
ストーリーの合間には、人肉を食べていたどこかの国の部族の話なども語られているのが、人肉を食べることがさも当然のことであるかのような気がしてくるかもしれない。
ラストは、主人公のその後の姿を想像するしかないような描写なのも、多くを語られ過ぎずよかった。