「あなたの孤独は美しい」戸田真琴著を読んだ。
本書は、戸田真琴さんがAV女優になるまでのこと、AV女優になってからのこと等を綴った、書き下ろしエッセイだ。
戸田真琴さんの生い立ちでは、新興宗教にハマる母親、いじめをきっかけに引きこもりがちになる姉の姿などが描かれている。
妹である戸田真琴さんからすれば、ずっと大好きなお姉さんが、いじめをきっかけに変わっていく様子に戸惑うこともあったかと思う。
戸田真琴さんご自身が、“おかしいな”と思ったことに対して、まわりの同級生などにも声掛けする様子が描かれていた。自分が思う正しさの押しつけではなく、おかしいと思うことを指摘できるのは、なかなか難しいのだ。
学生時代の淡い恋心のような描写もあったが、幼い頃からの母親からの教えなどがこびりついたまま成長していることで、恋愛には発展していかない。
誰かと恋愛することが皆無とも言えるような状況が続くなかで、AV女優になることを決意し、初体験に至る、というのは本人が望んだこととは言え、思い切ったことをするな、と思った。
初体験が貴重とか尊さだとかを重んじたいとも思わないが、このエッセイを読んだことで、誰かにとって大切にしたいこと、表現したいことなどが、それぞれにあることを痛感する。
皆同じであるはずもないことは承知しているけれど、本書のタイトルにも繋がる“孤独の美しさ”を垣間見た。