「地獄くらやみ花もなき」路生よる著を読んだ。
本作品は、何らかの罪を犯した人が妖怪に見える、という不思議な力を持った青年が主人公で、とある理由から借金を背負い、ネットカフェで寝泊まりすることで日々を過ごしている。
ある時、主人公がネットカフェに寝泊まりする手持ちすら無くなり、困り果てたところ、道に迷い、不思議な屋敷にたどり着く。
その屋敷に入ったことで、屋敷の住人から住み込みで助手をしないか、と誘われたことから、屋敷の住人の仕事を手伝う日々が始まる。
主人公が手伝い始めた仕事、というのが、主人公の不思議な力とも結びつきがある、“地獄代行業”というのが、なかなか興味深い。
屋敷にたどり着けるのは罪を犯した者のみ、というのも、来客が抱えているものが何らかの罪であることと関連していて、その罪を受け入れるかどうかでも、その後の展開が変化する。
主人公が、助手であるはずなのに、いつしかペットのような扱いをされるようになっていく、というのも屋敷の住人との距離感が縮まったからこそ、と思える微笑ましい描写もあり、楽しめた。
なぜ、主人公が地獄代行業をしている者が住まう屋敷にたどり着くこととなったのか、というのも、ストーリーのラスト間近で明かされるのも、読みどころ。