スポンサーリンク

【読書感想】いつも旅のなか

読書
この記事は約2分で読めます。

 海外旅行でのことが綴られたエッセイ、「いつも旅のなか」角田光代著を読んだ。

 角田光代さんの海外旅行は、大体において角田さん1人きり。本書の中では、1人旅よりも団体旅行向きの人間であることを、角田さんご自身が述べられている。それではなぜ角田さんが、単身で旅行されることになるのか、というのは本書で読んで確認すると良い。

 基本的には単身で旅されている角田さんではあるが、時折、恋人や友人との旅行、仕事で取材旅行などのことも語られている。

 角田さんご自身にとって、旅行は損得関係なしに趣味であるから仕事で記述したりしないようにしよう、というようなことを考えてらっしゃった様子ではあるが、写真で切り取りきれないようなことを、どうしても書き連ねておきたくなるから、結果として仕事にも繋がったようだ。

友達づきあいでも恋愛のはじまりでも、仕事のやりかたでもなんでもいいんだけれど、「なんだか以前の方法論が通用しないぞ」と気づくときがある。

「いつも旅のなか」本文より抜粋

  旅行中のことを記述する合間に、上記のようなことが語られることがあった。見知らぬ土地でのことと、日本での日常に絡めるような気づきは、読み手にも通じることが多々あるかと思う。

旅先で、その場所が書かれたもの、その場所で書かれたものを読む、というのはなかなか幸福な体験だと思っている。

「いつも旅のなか」本文より抜粋

  本書に収録されている旅行の中で、いくつか角田さんが旅先で読んでいた本があった。どれも、上記の抜粋に通じるものだった。こういう読書体験というものを、私もどこかでしてみたくなった。

 本書を読んでみて、角田光代さんが旅好きであるほかに、辛い食べ物が好きであることなども知った。旅のことを記述されているエッセイを読むと、そこで体験したものなどのほかに、その著者の本質みたいなものが読み取れるような気がして、おもしろい。