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【読書感想】一汁一菜でよいという提案

読書
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 私は、気づけば年々、料理することが減り、いかに楽するかということばかりを重要視してきた。現在(2020年5月)は部屋で過ごす時間が増えたことで、スーパーなどで買ってきた総菜やレトルト食品を食べることにも、やや飽きてきた。そこで今一度、自分の食生活を見直したくなり、「一汁一菜でよいという提案」土井善晴著を読んだ。

 本書の著者である土井善晴氏といえば、テレビ番組などでも活躍されてらっしゃる料理研究家ということは知っていたけれど、これまでに著作物に触れたことがなかった。

 いざ本書を読み始めてみると、とてもやさしい言葉で一汁一菜を作り続けることが、作る人自身に自信を与え、それを食べる家族がいるならば、その家族に安心を与えるか、ということが伝わってきた。

 料理は必ずしなければならないことだと押しつけるものではないけれど、自分にとって安心する味を知っていること、再現できることというのは些細なことかもしれないが、本当に自信につながることもあるだろう。

 一汁一菜と言ってはいるけれど、必ずしもごはんが炊いてあったり、おかずがある必要もない。味噌汁と食パンでも良いし、といった具合に柔軟な食事の話が綴られていて、読むほどに心が緩んでいく。

 また、料理に併せて、食器のこと、食材のこと、季節の味のことなどが記述されているのも、とても参考になった。特に、食器、食材などに携わる人で土井善晴氏と親交のある方のエピソードがとても良かった。

 本書を読んでみて、繰り返される日々の食事のことを肩の力を抜いて、身体に良く無理のないものを作り続けてみたくなった。ちょっと味付けや彩りなどを失敗しても、こんな日もあるよね、とやりすごせるようになりたい。毎日食べるものは誰かに褒められるために作るのではなく、生きるために作り続けるものなのだ。