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【読書感想】ここは、おしまいの地(文庫版)

読書
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 こだまさんによるエッセイ「ここは、おしまいの地」の文庫版が発売され、文庫版あとがきを読むことを目的にしつつ、再度「ここは、おしまいの地」を読んだ。

 「ここは、おしまいの地」の単行本を読んだ際の感想は、コチラ↓

 同じ内容だというのに数年振りに読むから、新鮮な気持ちで最初から最後まで読みつつ、ところどころで「あぁ、こういう話だったよね。」と以前読んだ時のことを思い出した。

 こだまさんの文章を読んでいると、表現の巧さ、リズムの良さにうっとりする。こだまさんの身近にいる人の悪口が書かれていても、笑いに変換されるよう。それらは、見ず知らずの誰かの悪口をただ傍観しているだけだからおもしろがって読めるのではなく、こだまさんのユーモアが引き出せるものだと思っている。

 私は、本を読む際に気になったところをノートに書き写すことがあるのだが、今回本書のものを下記に紹介したい。

「普通」を手に入れるのはとても難しい。そんな基準があるのかさえ疑わしい。そのことを教えてくれたのは痣とほくろと赤くなりすぎる顔だった。

「ここは、おしまいの地」本文より抜粋

 これは、こだまさんが、生まれ持ったもので嫌な思いを重ね、その後、稼いだお金で痣やほくろの除去をしたり、化粧をするうちに“普通”に溶け込んでいったことを述べている。私も、生まれ持ったもので嫌な思いをすることが多かったし、未だに言われることもあるからこそ、書き留めた。

 昨日までの普通が、今日も続くかはわからない。誰かの気持ちというのは、曖昧なもので、突如スイッチが押され、それまでの普通が消え去る。誰かのコンプレックスを馬鹿にすることで、快感を覚える人もいるのだ。

 このほかにも、こだまさんの言葉を追いかけることで思い出すこと、驚くことが多々あった。こだまさんでなければ、こんなにも誰かを巻き込み、あるいは本人が巻き込まれることが、あちこちで起こらないかもしれない日常が続いている。

 こだまさんの現在に至るまでの日常をエッセイを読んで、不謹慎なことすら楽しむ姿だったり、上手な悪口に笑ったりしていたら、気持ちが楽になった。

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