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【読書感想】鈍感な世界に生きる敏感な人たち

読書
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 数年前から見聞きする機会が増え気になっていた、HSPについてなんとなくわかっているつもりでいるよりも、さらに知っておきたくなり、「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン著を読んだ。

 著者自身がHSPであり、デンマークで長年、牧師、心理療法士として、多くのHSPの人々と対話してきたそうだ。

 著者が様々な人々と対話してきた経験に基づいたことが記述されていることは、本書を読み進めていくうちに、そこかしこに具体例が記されていることからも伝わってきた。

 まず、本書を読み始めると、HSPが病気ではなく、概念であるということであったり、世の中のおよそ5人に1人がHSPと言われている、ということが述べられていた。HSPは、病気ではなく敏感であるという能力の1つと捉えると良い、ということがわかった。

 また、HSPだからと言って、必ずしも内向的な人ばかりではなく、外交的な人であることもままあることも知った。“○○だから○○だろう”という、思い込みは禁物だし、内向的ということが示すイメージが、ネガティブな意味合いを持ち、そう言われることを嫌う人も多くいることを再認識した。

 HSPが必ずしも細やかで、誠実で、共感力があるわけではない、ということです。
本来は誠実なのですが、私たちは刺激を受けすぎると、心に余裕がなくなって配慮を欠き、一緒にいづらい人になってしまいます。

「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」本文より抜粋

  これまでに思っていたHSPの人についてのイメージが、本書を読み進めるごとに、良くも悪くも変わっていった。私が、これまでに見聞きしたものから勝手に思い込んでいたことだから、頭の中を整理する上では大切なことだ。

 HSPの人は、相手の話にきちんと耳を傾け、自然とシンパシーを抱きます。この能力のおかげで、たまった不満を解消したいと思っている人の気持ちのはけ口にされてしまいます。そのせいで、その日に必要なエネルギーをたちまち、相手に使い果たされてしまうかもしれません。

「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」本文より抜粋

 また一方で、HSPの人ならではの特徴ともいえるのが、上記のようなところかもしれない。当てはまらない人もいらっしゃるかもしれないが、こうしたことを知っておくことで、誰かとの関わり方に変化があるかもしれない。

 このほかにも、ある人が実母の金婚式のお祝いにかけつけることができず、親類からケチをつけられたけれど、HSPの自分はよくやっていると自分で自分を褒めた、というような例を見かけて、大変参考になった。

 自分の気質をよく理解し、生きづらさを軽減する、ということにも繋がる内容だから、本書を読むことで、心が軽くなることも少なからずあると思う。身近な誰かを理解したくて本書を読むのも良いけれど、読んでいるうちに読んでいる自分の気持ちが晴れてくるような内容だった。