怪奇現象が起きた、とされる場所に行き飲酒する、という実録コミックエッセイ「東京怪奇酒」清野とおる著を読んだ。
本書を読んでみると、清野とおるさんのこれまでのエッセイ漫画にも通じるような、自らがその場所に行ってみて、見たもの、感じたものを交えながらの描写が良い。
どの話でも、酔っ払いの戯言ではない何か、が感じられるような雰囲気があり、クセになる。インターネット検索で出てくるような知る人ぞ知る心霊スポットなどではなく、日常に潜む非日常といった怪奇現象が紹介されているところが、自分の日常にも何かあるかもしれない、と思わされる。
また、怪奇現象が起きた、とされる場所にわざわざ足を運んで単に飲酒する、というだけではなく、その周辺の街の様子、ちょっとしたグルメなども絡めているのもおもしろい。
本書では、誰かの怪談話を聞いていたら、連鎖するようにその場にいた人の怪談話が次々と出てきた、という話があったり、清野とおるさん自身も東京怪奇酒を描くうちに自身が体験したものを思い出した、という話が怪談話そのものだった。