私は、アニメ化された「ゴールデンカムイ」を観たことがきっかけで、原作の「ゴールデンカムイ」を読むようになった。原作コミックスを読むと、巻末に「ゴールデンカムイ」のストーリーを描いていく上で参考にしたもの、協力された博物館や監修者、協力者などの多さに驚く。
本書は、「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者である中川裕氏による、アイヌ文化の入門書だ。同じ出版社ということもあって、「ゴールデンカムイ」の名場面を使用してのアイヌ語、アイヌ文化の解説をされていて、とてもわかりやすい。
たとえば、「ゴールデンカムイ」の作中で幾度となく登場する、「カムイ」、「ヒンナ」、「チタタプ」といった言葉が意味することのおさらいができる。
これまでを思い返してみても、好きな作品がきっかけでどこかの民族や文化についてもう少し知りたい、と思ったことがなく、こういった機会を得るというのも「ゴールデンカムイ」の作品世界には実在するものと創作が混じっているからこその魅力があるからなのかもしれない。
本書を読んでみて、アイヌ語やアイヌ文化については知らないことばかりだったけれど、少しでも興味を持つことで見える世界が変わる、というような体験ができたような気がしている。また、「ゴールデンカムイ」をより一層楽しめるこぼれ話などを本書から得て、これからも原作を読み続けたくなった。