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【読書感想】自省録

読書
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 少しばかり前に、「ミステリと言う勿れ」という漫画に出会った。この作品を読んだことで、作中で主人公とある登場人物が「自省録」を用いてやりとりする描写があり、「自省録」がどんな内容なのか気になったことから、私も「自省録」を読んでみたくなった。


 さて、この「自省録」は、第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス(マルクス・アウレーニウス)が、ごく個人的に記したメモ書きなどをまとめたものだ。

 今回、私は「ミステリと言う勿れ」で主人公たちが使用していたものと同様であろう、岩波文庫版を読んでいる。


 これまで思い返してみても、ローマ皇帝と言う存在は世界史などでちょっと触れることがあったくらいで記憶が止まっている。それに加えて、哲学についてもあまりよく理解していない。

 とはいえ、いざ本書を読んでみると、ローマ皇帝の考えていること、悩みなどが時として現代人とそう変わらないことが多々見受けられ、あまり古さを感じずに読める部分があってホッとした。

 未来のことで心を悩ますな。必要ならば君は今現在のことに用いているのと同じ理性をたずさえて未来のことに立ち向かうであろう。

「自省録」-第七巻八より抜粋

 本書は、先述のとおり、ローマ皇帝がメモ書きしたものなどをまとめたものであるからして、たった一文の時もあれば、長文である場合もあった。自分のために記述したものなのだから、一言で済むこともあれば、物事の経緯だとかも含めて長々と書くことで自身の頭の中を整理する意味合いもあったのかもしれない。

 遠い国の随分と昔の皇帝がメモ書きしたものを一冊の本として読む、ということは、きっかけがなければ、なかなか読む機会まで辿りつかないかもしれない。今回、たまたま読み始めた漫画での登場人物たちのやりとりから、本書に興味を持つことに至った。自分の興味の矛先が、どこに落ちているかわからないし、それを拾うかどうかもその時の自分次第だ。

 「自省録」を読んだことで、人の悩みの本質などはいつの時代も変わらないことを記述されていたことから読み取れたように思う。学生時代にちょっとばかり触れた内容すら記憶が怪しくとも、本書を読むには歴史書を読むつもりで挑まずとも掬い取れる考え方などがある。これからも本書を読み返して、その時々で心に触れる言葉などを確認してみたくなった。