スポンサーリンク

【読書感想】絡新婦の理

読書
この記事は約2分で読めます。

 京極夏彦氏による百鬼夜行シリーズ第5弾「絡新婦の理」を読んだ。

 初っ端から余談ではあるが、私は本作品を読むまで「絡新婦」と書いて、「じょろうぐも」と読むことを知らなかった。このシリーズを読むことで、知らなかったことを知ったような気がすることが増えた。


 さて、本作品は、聖ベルナール女学院とその周辺を舞台にした事件を描いている。学院内の秘密サークルによる悪魔崇拝、東京と千葉で連続して起こった目潰し魔による犯行など、”蜘蛛”がキーワードとなることが次々と露見していく。

 何かを知ろうとすると”理(ことわり)”という言葉が出るところも、前述の蜘蛛と同様に何者かに導かれていくような展開が続く。

 この百鬼夜行シリーズを順に読んできたことで、前作までのどこかで登場した人物が再登場したり、今回の事件に少しばかり関わっていたりそうでなかったりするのも読みどころ。

 また、誰かから見るといかがわしいことも、また別の視点から見るとそうではないことがある。そういうことが多く描かれているのが本作品であり、このシリーズの他作品にも見られることだけれど面白いところだと思う。

 今回の京極堂による憑物落としも見事なもので、誰かから聞いた話、誰かに調べてもらったこと、自分が読んだ本や雑誌の情報からいくつもの事件や過去のことへと繋がる真相へと辿り着くものだ、と驚き楽しんだ。

 最後に、これもまた余談ではあるが、本作品が女学院が舞台であることから、かつて読んでいた「マリア様が見てる」シリーズのような華やかな世界観を思い浮かべたりもした。
しかし、思い浮かべたものとちょっと違ったのは、本作品は百鬼夜行シリーズなのだ、ということであり、麗しい人々たちの憑物が落とされていく様は読み応えがあった。