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【読書感想】まばゆい

読書
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 昨年、僕のマリさんの「常識のない喫茶店」を読み、喫茶店で働いていた僕のマリさんの日々にちょっとした刺激を受けたようなつもりでいた。とはいうものの、次回作である「まばゆい」になかなか手を出せずにいたのも事実だ。

 さすがにYouTubeで動画を眺める日々にもちょっと飽きてきたので、別の刺激を受けたくなったところもあって、「まばゆい」を取扱っている本屋のオンラインストアで注文したのだった。

 ※前作「常識のない喫茶店」についての読書感想は、こちら↓

 さて、ここからは「まばゆい」について語っていきたい。

 本書は、「常識のない喫茶店」で描かれた喫茶店で働く日々までよりも、もっと前のことが綴られている。たとえば、ご家族の仕事の関係で転勤族だったこと、小学生の頃から飼い始めた愛犬との生活や思い出、兄弟のこと、音楽のこと、友人のことだとかを語られている。

 過去のことを語りつつも、現在はどうなのか、ということまでも繋げて綴られていることばかりだから、思い出話ばかりではないところが良かった。

 本書を読んでいる時、10年前の自分と現在の自分は全く別の他人であるから、過去の出来事を深刻に考え過ぎず現在とは切り離して捉えた方が良い、というような内容をTwitterで見かけたことを思い出した。これを思い浮かべたところで、学生時代に片想いの相手のことだとか、自分が一生懸命に打ち込んだことよりも、私には中途半端なことばかりで恥ずかしくなる。

 私は、今まで一生懸命に打ち込んだり好きになろうとすると、そんな自分を恥ずかしい、と思ってどこかのタイミングで急に冷めてしまうことが多かった。だからこそ、僕のマリさんのように自分の感情のまま素直に過去の出来事だとか、誰かとの関わりを胸の内にしておかず書き続け、その文章を読んだ見知らぬ誰かの心を救っているような気がする。

 とはいえ、自分に不向きなことはしない方が幸せなこともあるから、きっと私は過去よりも今の方が幾分マシと自分なりの修正をしつつ生きていくのだろう。

 また、誰かとの嫌な気持ちになった出来事だとか、年齢を重ねたからこそ訪れるイベントのことなどにも触れられており、生きていくことで味わういろんな感情が文章から溢れ出て、そのシチュエーションを想像すると近しい経験って自分にもあるな、と思うのは私だけではないはずだ。

 僕のマリさんの「まばゆい」を読んでみたら、あとがきに記されていたタイトルに込められた想いを表すようなお話ばかりで良かったな、と思った。