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【読書感想】同志少女よ、敵を撃て

読書
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 Twitterのタイムラインで、何度か見かけたことで興味を持ち、「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬著を読んだ。

 「同志少女よ、敵を撃て」は、著者・逢坂冬馬氏のデビュー作品であり、第11回アガサ・クリスティー賞受賞でもある。

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 本作品は、ロシアを舞台に、農村で暮らしていた少女が、母や村人を失ったことをきっかけに女性狙撃兵となり、戦争の前線で敵を撃つにつれ、真の敵とは何なのか、自分が失ったもの手にしたものなどと向き合う物語だ。

 私は、歴史や戦争にまつわる作品をあまり読まないけれど、たまには良いか、と思って本作品を読んだ。本作品が、史実に基づいたことや資料を参考にして、フィクションをおり混ぜた物語だからこそ、エンターテイメント作品として夢中になる主人公をはじめとする登場人物たちのやりとりやその姿に引き込まれ、いろんな感情を混ぜつつもラストまで楽しめた。

 主人公が、後の教官となる女性兵士に向けた怒りを含めた誤解が、後半になるにつれ、別の感情に変化していく様子には、胸打つものがあった。

 また、主人公が同じ村で育った青年と戦地で再会したことも、決してロマンチックなものにはならなかったことが、それぞれが兵士として現場に立っているものの抱えているものの違いを強烈に表しているようで印象的だった。

 「同志少女よ、敵を撃て」を読んでみたら、悲しみや怒りを抱えながらも女性狙撃兵として戦場を生き抜く主人公の姿があった。主人公のまわりにいる仲間たちも、個性豊かでそれぞれのありたい姿を全うしていた。必ずしも顔を合わせるばかりではなく、たまに近況報告をする程度になったとしても、強烈な日々を過ごした仲間の存在があり続けることがただ眩しく思えた。