女優として、あるいはエッセイストとして知られる、小林聡美さんのエッセイ「聡乃学習」を読んだ。このエッセイは、5年に渡って書き続けられたものが、書籍化されたものだそうだ。
小林聡美さんに限らず、俳優やタレント、あるいはミュージシャンといった方々は、映画やドラマ、ステージ上で拝見する姿ばかりが先行してしまい、どんな人物であるかをよく知らない。昨今では、InstagramやTwitterなどで彼らが投稿する写真、文章から伝わってくるものが増え、その人の素に近いものに触れる機会も増えたような気がする。
さて、このエッセイでは、小林聡美さんが電脳生活と呼ぶ携帯電話やPCとの関わりだとか、田舎暮らしへの憧れについて語られたかと思えば、エナジードリンクを好む少年とのエピソード、大学生活で出会った年下の友人たちとの旅行、屋久島ツアーに1人で参加した話など、話題は多岐にわたる。
たとえば、フィンランドと日本の外交関係樹立100周年の年、小林聡美さんがフィンランドの親善大使の1人に選ばれた、という話があった。
フィンランドと日本には、自然を暮らしの中に取り込んでそれぞれの季節を楽しむ、という共通点がある。だからかどうかわからないが、フィンランドの家具や食器は日本の暮らしにも馴染むのだろう。
「聡乃学習」本文より抜粋
これは、小林聡美さんが、フィンランドの親善大使の1人に選ばれた話の中で、フィンランドの山をトレッキングするドキュメンタリー、それから映画「かもめ食堂」の撮影でフィンランドを訪れた時のこと、フィンランド大使館に招待された話と併せて語られていた。
私は、残念ながらフィンランドに行ったことはないが、「かもめ食堂」を観たり、フィンランドにまつわる本を読んだりすることが好きだ。余談ではあるが、埼玉県飯能市にあるムーミンバレーパークに隣接するメッツァビレッジも、北欧気分を味わえて私は好きだ。
また、本書では50を越えたら順不同、という話もあり、その内容を読むとなるほどな、と思った。これは本書を読んで、今の自分と照らし合わせた方がより良い話だと思う。
「聡乃学習」を読んでみて、小林聡美さんの日常から、1人で暮らすことの快適さが伝わってくるようなこともありつつ、いろんな年代の人々との関わり合いが語られ、素敵だった。