自伝的エッセイという紹介が気になり、「この先には、何がある?」群ようこ著を読んだ。
本書では、作家として独立するまでの就職や転職のこと、ご家族のこと、作家になってからのこと、趣味のことなどが語られている。
今まで群ようこさんのエッセイや小説作品をいくつか読んだことがあったけれど、本書での各エピソードでの心情がより強く素直に表現されていた。
群ようこさんが、新潮社の中瀬ゆかりさんと親しい様子が多く綴られているのも印象的だったし、以前読んだ海外旅行のエッセイについて思い出したりもした。
また、群ようこさんがお母様と弟さんとの間にあった金銭トラブルなども赤裸々に記されており、就職や転職される時の様子ともどこか重なるようで、血縁関係者との問題は心身ともに障るだろうな、ということが想像された。
このほかにも、映画「かもめ食堂」の原作を執筆するにあたっての話も語られていて、映像化されるまでのやりとりから、映画館での上映後のことまで綴られたエピソードを読めて良かった。
「この先には、何がある?」を読んでみたら、胸が苦しくなったり悲観的な気持ちになるような話も多々あったけれど、著名な人だからこそ楽しいことばかりじゃないという面も見せてくださっているようで、参考になった。それに加えて、かつて読んだエッセイの裏側を知ることもあれば、テレビ番組や映画で観たことがある人達のことをほんの少し知ることができたりもして、良かった。