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【読書感想】さんず

読書
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 まず、第13回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家であり、”自殺幇助業者<さんず>が死にきれない者たちの背中にそっと忍び寄る”という紹介文が気になったことから、「さんず」降田天著を読んだ。

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 ある日、どこからともなく名刺サイズのカードを受け取り、そのカードに記載されたQRコードにアクセスすると、自殺幇助業者・さんずへの申し込み依頼が完了する。逃げ場がない、というほど追い込まれた人、自ら死を望む人のところへ届くカードからしかアクセスできないウェブサイトでは、2つのプランから選択し、自らの結末を選べ、途中で断念することもあり。そんなものがあったら、自分はどうするだろう、と考えずにはいられない。

 それと同時に、こういったサービスが現実に存在しなければ良い、せめて自ら死を望む人の目に触れることがなければ、などと思ってしまう。

 本書は、5編の連作短編集という形を取っており、5編の中で「さんず」というサービスを利用することとなった人々の最期までに起きたことの他、謎に包まれていたさんずの社長の正体が明かされる。

 どの話も決して明るいものではないし、楽しいとも思えなかった。けれども、本書を読み進めずにはいられない魅力があったのも事実だ。

 「さんず」を読んでみたら、自ら死を望む人がどんな状態にまで追い込まれた人なのか、ということをフィクションでありながらもその思いに馳せるような気持ちにもなり、なんとも言えない気持ちになった。また、自殺幇助業者という架空の存在ではあるけれど、そういう業者ならではの視点もあるはずで、仕事だからと割り切れるものなのかなど想像してみようとしたけれど難しく、容易に答えが出せるはずがなかった。