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【読書感想】新装版 たのしいムーミン一家

読書
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 先日、初めてムーミンバレーパークに行ってきた。幼い頃に観た記憶がうっすらとあるムーミンのアニメの内容と擦り合わせるように、Netflixで「ムーミン谷のなかまたち」を観ながら、私なりにムーミンバレーパークを訪れるための事前準備をした。

 私は、ムーミンバレーパークと隣接するメッツァビレッジなどには数回訪れており、なんとなくその景観だけを知っていたものの、いざムーミンバレーパークの中に足を踏み入れると、アニメなどで見知ったムーミン谷へ迷い込んだような気持ちが湧き上がってくるのを楽しんだ。

 そして帰宅する頃には、ムーミン谷の住人達のことをもっと知りたくなった。それから数日経つ頃には、「新装版 たのしいムーミン一家」トーベ・ヤンソン著、山室静訳を読み始めた。


 この「新装版 楽しいムーミン一家」は、長い冬眠から目覚めたムーミントロール、スナフキン、スニフが、海べりの山の頂上で黒い帽子を見つけたことから始まる。

 その黒い帽子の中に物を入れると形や性質を変えてしまう不思議な力を持っていることから、次から次へとその黒い帽子が関係した事件が起きていく。ある時、この黒い帽子が飛行おにの持ち物だということを知ると、ムーミントロール達は飛行おにがいつかムーミン谷へやって来るのではないか、と心配したりもする。

 飛行おにがわらうことができるなんて、だれだって思いはしなかったのです。ところが、そのときみんなの目には、飛行おにのにっこりしたのが、はっきりと見えました。どんなに飛行おには、うれしがっていたことでしょう。あの人のぼうしから長ぐつまで、それこそよろこびがあふれていたのです。

「新装版 たのしいムーミン一家」より抜粋

 これは、飛行おにが自分で自分の願いを叶えることができないことを知った、トフスランとビフスランが、飛行おにの代わりに飛行おにの願いを言ったことで、飛行おにが三百年探し続けていた物を手にした様子を描いている。
この描写からは、誰かの表情や仕草、あるいは人柄などは、勝手な憶測や噂話はほどほどにして、自分で実際に見たもの触れたものがすべてだ、とも思った。

 「新装版 楽しいムーミン一家」を読んでみたら、児童向けの作品だし、大人が楽しめるだろうか、とやや不安はあったものの、そういった心配が不要だったほど、気づけばムーミン谷の住人達に夢中になった。ムーミン谷の住人達に出会って、ムーミン谷を訪れた者の心が変わりゆく様子を読み、想像する時間は良いものだった。