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【読書感想】新装版 ムーミンパパの思い出

読書
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 このところ、続けざまにムーミンシリーズを読んでいる。今回は、「新装版 ムーミンパパの思い出」トーベ・ヤンソン著、小野寺百合子訳を読んだ。


 この「新装版 ムーミンパパの思い出」では、風邪を引いたムーミンパパが、ムーミンママのひと言がきっかけで、若い頃の思い出を書き記すことにしたことから始まる。

 ムーミンパパは、自身の生い立ち、それから大切な仲間達との出会いや冒険などをちょうど良いところまで書き終える度、それらをムーミントロール、スニフ、スナフキンに語る。ムーミンパパの大切な仲間達が、スニフ、スナフキンの親達であることを知ると、スニフ、スナフキンが自分の親のことをもっと聞きたくて、ムーミンパパにせがむような描写があるのが、楽しげだった。

 また、ムーミンパパ達が冒険をした際に乗った船が、海のオーケストラ号というのだけれど、ちょうど先日、私はムーミンバレーパークに行ってきたばかりということで、アトラクションの内容を反芻するような気持ちで本書の内容を楽しめたのが、良かった。

 「有名になるなんて、つまらないことさ。はじめはきっとおもしろいだろう。でも、だんだんなれっこになって、しまいにはいやになるだけだろうね。メリーゴーラウンドにのるようなものじゃないか」

「新装版 ムーミンパパの思い出」より抜粋

 これは、海のオーケストラ号で冒険中のある日、ムーミンパパ達のやりとりでのヨクサルの言葉だ。若かりし頃のムーミンパパが望んでいるものを見透かすように、あるいは全てどこかで経験してきたようなヨクサルの言葉は、読んでいる者をも少し冷静にしてくれる。

 「新装版 ムーミンパパの思い出」を読んでみたら、ムーミンパパとその仲間達の冒険の話や思いがけないようなことまで、ムーミンパパの語らいを楽しむムーミン達と肩を並べるような気持ちで楽しめた。