Twitterでフォローしている小説家のツイートがきっかけで、「不能共」草森ゆき著を知り、読んでみたくなった。
「不能共」は、目の前で恋人だった女性に死なれた男である朝日大輝の部屋に、その女性の夫であった清瀬隆が突然訪問することから始まるBL作品だ。
朝日大輝、清瀬隆が互いを大嫌いとしながらも、朝日大輝の部屋に通い続ける清瀬隆とそれを拒絶しつつも受け入れる朝日大輝のやりとりは、暴力的なところもあるけれど互いに傷ついた者同士だからこそのものが含まれていたように思う。彼らが顔を合わせ、関わり続けていく中で明らかとなった、それぞれの”不能”である部分が裏付けられるエピソードでは結構エグい描写があったものの、彼らが互いを傷つけ合ううちに変化した感情の揺らぎもあった。
BL作品ならではの描写もありつつ、朝日大輝、清瀬隆の周りにいるやや癖のある登場人物たちとの絡みもあったのは、読んでいて楽しかった。