はじめに…

タイトルに心惹かれ、穂村弘著「蚊がいる」を手に取りました。エッセイ本のタイトルそのままに、表紙のデザインやエッセイの合間にあるのも、蚊取り線香を彷彿させるイラスト、というのは、遊び心が感じられて良いな、と思いながら、読み進めました。

読書感想

「蚊がいる」は、歌人である穂村弘さんのエッセイです。どこか頼りない印象の穂村弘さんではありますが、こういう人だからこその視点は、クセになると思うようなエピソードばかりでした。

大学生だった頃、会社員だった頃、現在のこと、それぞれの年代での出来事、思い出が綴られていました。

誰かにとって自分が「○○の人」というイメージのままでいることは、ままありますが、穂村弘さんが大学の後輩にとって「カニミソの人」であったり、読者からは「ベッドでパンを食べる人」であったりする、という他にもエピソードはあったはずなのに、本人の予期せぬところでイメージがついてしまっているところには、ニヤリとしてしまいました。

また、穂村弘さんが会社員だった頃のエピソードで、腕時計の話があったのですが、腕時計をある種のお守りのようにして身に付けていたことに、共感しました。誰でも、働いていく上で自分にとってのお守りみたいな持ちものがあるものだよなぁ、なんて思いました。

最後の最後は「ただ頑張る」しかないのなら、誰かはっきりと私にそう告げて欲しい。でないと、踏ん切りがつかない。私は大きな机の上できれいな文房具たちをいつまでもいつまでも並べていたいのだ。(「蚊がいる」本文より抜粋)

キラキラしたようなエッセイを読みたい気分のときもあるけれど、穂村弘さんのような言葉がしっくりとくることもある、と気づかせてもらったような気がしました。

ただ頑張ることしかない、ただそれだけ、というのはただただ虚しくなることもあります。誰もが口にしないだけで穂村弘さんのような気持ちになることがあるのではないかな、とも思いました。

最後に…

穂村弘著「蚊がいる」は、穂村弘さんのエッセイを存分に味わいつつ、又吉直樹さんとの対談も収録されていたので、さらに楽しめる1冊でした。

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