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【読書感想】とらすの子

読書
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 不穏なカバーイラスト、タイトルから今回はどんなストーリーだろう、と発売日を楽しみにしていた、「とらすの子」芦花公園著を読んだ。

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とらすの子 [ 芦花公園 ]
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 「とらすの子」を読み始めてみると、まずは、売れないオカルト雑誌のライターである坂本の視点で、現状に対する鬱屈などが描かれる。ある日、坂本は都内で起きている連続殺人事件に関することで気になることを呟いているSNSアカウントを見つけ、実際に会うことを取り付ける。そのSNSアカウントの少女と会った坂本は、連続殺人事件に関係しているらしい「とらすの会」のマレ様について知ったのだが、目の前で突然、少女が死ぬところを目撃することとなる。

 その後、とらすの会を探るため、それらしい民家へと足を運んだ坂本は、マレ様と会うことを許され対面したことで、とらすの会と関わりを持つようになる。マレ様にお願いすれば、嫌な奴を殺してくれることを知ってしまった坂本は、とらすの会にいる人々も自分とそう変わらない境遇であることを察する。

 それと同時に、坂本の身近な人々が次々と死んだことで、坂本は警察から重要参考人として目をつけられてしまう。そんななか出会った女性刑事と坂本は親しくなり、プライベートで食事をした際、お酒を飲んだ酔いも手伝って、女性刑事の生い立ちが坂本が思っていたものとは異なり、彼女が苦労人で努力家であることを知る。このことで、坂本は自分と彼女の違いを見せつけられたようにもなり、その後、あることを決断する。

 本作品を読んでみて、マレ様の存在を漫画のDEATH NOTEみたいだ、と作中でも表現していた描写もあったけれど、疫病と違ってどうにも防ぎようがないものだから全国的に多発するようになると感覚が麻痺して、それが日常になってしまうのだろう。次は自分かもしれない、という心配は疫病にも似ているが、次に死んでしまうのは自分かもしれない、という存在がいる世界は安心安全なんてない。

 また、マレ様の正体に関わることも、過去から現在に至るまでを知ることで、信じ難い事実も含まれつつも、そんな超常現象のような力で人を殺すことがマレ様のマレ様たる所以と思えば納得の内容だった。

 「とらすの子」を読んでみたら、ちょっと安心したのも束の間、不穏な展開の連続だった。あの人があれで、と考えることすら後回しにして読み進めたのは、ちょっと勿体なかったかもしれないが、それくらい夢中で読んでしまった。