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【読書感想】聖者の落角

読書
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 芦花公園先生による、佐々木事務所シリーズ第3作目「聖者の落角」を読んだ。

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 「聖者の落角」は、心霊案件を取り扱う佐々木事務所へ、ある日、佐々木事務所のあるビルのオーナー・泉から、泉の友人とその娘についての相談を持ちかけられたことから始まる。

 佐々木事務所の所長である佐々木るみは、泉の友人・丹羽桃子に会い、桃子の娘が難病を患っていたものの、ある日を境に病を完治し、おかしな言動や行動をするようになったことを聞き、ことの発端になったであろう病院に現れたという黒服の青年、怪異の原因を探ることになった。

 佐々木るみは、怪異の原因を探りつつも、他の案件の相談を受けたところ、丹羽桃子の娘と同様の状態になっている子どもがほかにも多数いることを知る。佐々木るみが、怪異の原因となったであろうものを突き止め行動したものの、なかなか怪異はおさまらない。

 本作品では、佐々木るみが、助手の青山幸喜と別行動を取ることが増え、彼女の悪癖を自分でコントロールしつつも怪異の原因を探したり、相談者達とやりとりをしていた。ところどころで佐々木るみにとって、青山幸喜がどんな存在であるか、が伝わってくる描写がありつつ、佐々木るみの過去にも触れるような場面もあり、彼女の成長がうかがえた。

 また、佐々木るみは青山幸喜とは別行動ではあるものの、片山敏彦と行動を共にしたり、嫌々ながらも物部斉清を頼ったりもしていた。ここで、物部斉清を頼ったことがきっかけとなり、佐々木るみにとっての物部斉清についての印象が変化したであろうやりとりがあった。そのやりとりから、言葉の受け取り方はその時のその人の心の状態や想像力で左右されるものなのかもしれない、と思った。

 「聖者の落角」を読んでみたら、私には怪異の正体がよくわからないままだったのは、やや残念ではあるけれど、不穏なまま終わるのが特殊な力のことだとかを考えさせられるような気にもなって良かった。