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【読書感想】漆黒の慕情

読書
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 芦花公園氏による、佐々木事務所シリーズ第2作目「漆黒の慕情」を読んだ。
本作品は、絶世の美青年で塾講師をしている片山敏彦が、今まで経験したことのない気味の悪いストーカー行為を受け、彼の生徒や同僚が危害を加えられたことから、心霊現象などを取り扱う佐々木事務所へ訪れる。

 佐々木事務所では、時を同じくして、近隣の小学校での七不思議に関する相談があり、片山敏彦の依頼との奇妙な共通点があることに気づく、といったようなことが、大まかなあらすじだ。

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 ちなみに、佐々木事務所シリーズ第1作目「異端の祝祭」については、こちら↓

 さて、ここからは「漆黒の慕情」について、語っていきたい。

 まずは、あらゆる人々がうっとりするほどの顔立ちだという、塾講師の片山敏彦が、ストーカー被害にあったことが1度や2度ではないものの、彼自身も他人には言えないようなことをしてきた過去がある、という秘密を抱えているのも、後々にあれ?と驚きの展開になる。

 また、本作品では、ストーカー事件と七不思議の解決に向けつつ、佐々木るみの内面にあるものとの葛藤が、結構描かれている。
佐々木るみが不思議な能力を持っていることを前提としつつ、ストーカー事件で片山敏彦に好意を寄せていた女子中学生の母親の姿、七不思議のハルコさんが母親として男の子を探していること、佐々木るみの実母と養母に対する気持ちのあり方が、その人それぞれで母親の存在というものが多様であることの表れであり、それが人によっては苦しみの元でもあることを示しているようだった。

 そのほかにも、前作に引き続き、物部氏が少々登場するが、今回は佐々木事務所の青山との新たな関係が描かれる。物部氏が電話で青山に言ったことが、示していたことはそれだったのか、というのは、なんとも言えない気持ちになる結果が付いてくる。

 「漆黒の慕情」を読んでみたら、前作「異端の祝祭」で佐々木と青山が救った島本笑美のその後が描かれ、どこか救われるような気持ちになったのも束の間のようだった。今回の登場人物に関して、やるせなさがつきまとうような結末があったものの、次回作にどう繋がっていくのかが楽しみでもある。