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【読書感想】わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版

読書
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 Twitterをボーっと眺めているときに限って、妙に気になるものと出会うことがある。「わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版」くどうれいん著も、パッと目に飛び込んでくるようにして読んでみたくなったのだ。

 本書は、全国の書店どこででも手に入るものではなく、取扱店でのみ入手できるもの。下記に、国内の取扱店に関するURLを記載する。

 著者は、岩手県盛岡市を拠点に活動されている歌人だ。本書に収録されている、エッセイのタイトルがそれぞれ“食”をテーマにした句になっているのも、読みどころ。

 数年前に出版された本書は、エッセイを綴っている当時、著者が大学生であったことが窺える日常がそこかしこにあった。それと同時に、料理をすることが好きで、食べることも大好きな人であることが、存分に伝わってきた。

菜箸を握るのが楽しいと思えることは、きっとすこやかに生きていくうえで武器になると信じている。

「わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版」本文より抜粋

 著者は、「菜箸を握る」ということを、ところどころで語っている。どんな感情を抱えていようとも菜箸を握るということが、日常のひとコマに過ぎない些細なことだとしても、自分と向き合い、そして自分を奮い立たせる自信につながることを示唆しているかのようだった。

 本書では、著者が作って食べたもの、家族が作った食べ物の味や作り方、食べ物の向こう側にある誰かの表情や仕草、著者の内面のことなどが記述されている。たとえば、Twitterで見かけたものを試して食べてみた時に思い出した味のことなどは、SNSが当たり前の時代だからこその話だ。

 どこかで誰かが味わっている、自分が知らない味の食べ物の話は、いつだっておもしろく、感情を揺さぶられる。