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【読書感想】桃を煮るひと

読書
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 くどうれいんさんにとって5年ぶりの食エッセイ集、「桃を煮るひと」著を読んだ。本書は、日経新聞「プロムナード」(2022年7月〜12月)に掲載されたエッセイのほか、描き下ろしが加えられている。

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 前作の「わたしを空腹にしないほうがいい」を読んだ際、くどうれいんさんが、厨という言葉を用いたりするところに、どこか惹かれるものがあった。本書を読んでいくと、こちらでも厨という言葉がところどころで登場していた。なんてことはないたった一言だって、くどうれいんさんが、歌人としてもご活躍されていることを踏まえると、言葉選びや表現が上手なことは積み重ねられてきたものであることは想像するに難しいことではない。

 本書では、食べ物にまつわるエッセイではあるものの、くどうれいんさんの感情の豊かさ、思い出の味、日常の些細な出来事などが語られていて、それぞれに心地良い空気を纏っている。

 わたしは自分を美食家だとは思わない。こだわったものや高いものがとびきりおいしいこともあるかもしれないけれど、それよりも出来立てであたたかいことや、一緒に食べる人とどんな会話をするかのほうがずっと大事だと思っている。

「桃を煮るひと」本文より一部抜粋

 この抜粋部分に限らず、本書を読んでいると、くどうれいんさんが大切にされていることが、どんなことであるかがそこかしこに記されていた。くどうれいんさんが描く瑞々しい文章に誘われるがごとく、コンビニにカリカリ梅を買いに行くなどしながら本書を読み終えた。