「大家さんと僕 これから」矢部太郎著を読んだ。
本書は、「大家さんと僕」の続編だ。
矢部太郎さんと大家さんのやりとりは、心が温まる。
本文中に、大家さんが矢部太郎さんのことを「血のつながらない親戚」というようなことを仰るシーンがあったが、このシリーズを読んでいると、その言葉の通りのように思える。
近づき過ぎず、適度な距離でありつつも、お互いを思いやれたりする関係が、大人になって築くことができるのは、とても素敵なことだと思う。
大家さんのやや毒舌気味なところとも受け取れる、はっきりした性格が、読んでいて、とても気持ち良かった。
大家さんと矢部太郎さんのお話は、ノンフィクションではなく脚色をしているから、フィクションだと矢部太郎さんは述べていらっしゃるが、そんなこと気にしないくらい魅力に引きつけられるエピソードばかりだ。
大家さんが怪我や加齢などで、弱っていくことを鉛筆の筆圧で知る矢部太郎さんのシーンは、私も読んでいてなんともセンチメンタルな気持ちになった。
身近な人の変化は、近しいほど気づかない、あるいは気づけないこともある。
相手が見せまいとしている、ということもあるが、偶然が重なって、その変化などを気づかざるを得ないこともあり、そういう時、自分の不甲斐なさを思い知る。
本書を読むと、矢部太郎さんの人柄もよく伝わってくるのも、とても良かった。