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【読書感想】八本脚の蝶

読書
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 たまたまTwitterでどなたかのツイートで知り、「八本脚の蝶」二階堂奥歯著を読みたくなって、すぐさま購入した。単行本は、2006年に発売され、その後、絶版となっていたが2020年に文庫化された、ということも、本書に興味を持った理由だ。

 本書には、2003年4月に自殺した編集者・二階堂奥歯さんの2年間ほどの日記、二階堂奥歯さんに近しい人々の書き下ろしコラム、二階堂奥歯さんによるブックレビューが収録されている。

 本書に収録されている、二階堂奥歯さんの日記は、現在に至るまでウェブでも拝見できる、というのもなんとも不思議な気持ちになった。
 おしゃれが好き、本が好き、という二階堂奥歯さんが、存命でかつTwitterアカウントをお持ちだったら、どんなツイートをされるのだろう、などと思ったりもした。

 日記の最初の頃は、本のこと、おしゃれのこと、展覧会などに足を運んだことなど、様々に綴っていらっしゃった。
 もとより奥歯さんが、体調を崩しやすいらしいことも、日記から読み取れた。

 非常袋は市民の心得。

コルセットは乙女の心意気。

「八本脚の蝶」二〇〇一年六月一四日(木)より抜粋

 この表現を見て、私の頭の中には獄本野ばら氏のエッセイや小説を思い浮かべた。
思い浮かべたところで、なにかがあるわけではないけれど、乙女のたしなみみたいなものを記述されているのを見つけて、胸が高鳴るような気がした。

 単行本が出版されていた時期を遡ると、私が短大生の頃だし、奥歯さんがリアルタイムで日記を更新していたのは、私が高校生の頃だ。何が言いたいのか、というと、奥歯さんの日記で綴られているものは、その当時の私が読んでいたら、日記の更新を待ち遠しくしていただろうし、日記で紹介されている本のみならず、ファッションやコスメなどにも影響されただろうことが予測される。

 あの頃に奥歯さんの日記と出会えていたら、などとたられば論をしたいわけではない。今の私だから、ある程度落ち着いて読んでいられる日記だし、真似してみたくなることも見つけた。
奥歯さんの日記は、色褪せることなく、今現在の読み手にも受け止められている言葉が散りばめられている。

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