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【読書感想】白いしるし

読書
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「白いしるし」西加奈子著を読んだ。

「白いしるし」の主人公である夏目は、アルバイトをしながら絵を描いていて、友人に誘われて訪れた個展で出会った画家と1つの作品に心奪われる。夏目は傷つくような恋愛を遠ざけて、この数年を過ごしてきた。

しかし、前述のように、夏目は間島と彼の絵に出会ってしまったことで、いけないと思いつつも、本能にあらがえず、間島にのめりこむ。

夏目は、間島に気持ちを打ち明け、数日間一緒に過ごしてみて、それまで笑えていたのに、一緒に過ごしてから自分が笑えていないことに気づく。

また、間島が夏目の手料理を食べて口にした言葉に対して、夏目は、これまでのことを含めて間島の言動や行動に違和感を覚える。

友人のままでいることの心地良さでは我慢できず、自分の気持ちを相手に伝え、相手との距離が縮まったことで、見えてくるもの、感じるもの、気づくものがある。

恋愛というものは、いつだって、相手のことを冷静に見始めた時、そのまま関係が続くか、終わりを迎えるかと心がざわつく。

本作品は、恋した相手のみならず、友人ですら、近しいところにいるはずの相手の詳細を知らないまま、関係を続けてしまう心地良い関係があるものの、ふとした時に、相手の知らない部分に遭遇し、ギョッとすることがあることを教えてくれる。

短い期間での恋愛であろうとも、その人にとって濃密な関係だったりすると、忘れがたい存在になり、それを昇華していくのは、大人になればなるほど、大変なのかもしれない、と思った。

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