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【読書感想】現代百物語 妄執

読書
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岩井志麻子さんによる、現代百物語シリーズ第7弾「現代百物語 妄執」を読んだ。現代百物語シリーズは、どれも岩井志麻子さんの知人・友人から聞いた実話、岩井志麻子さんご自身が体験した実話をもとにした怖い話が述べられている。どれも実話ではあるが、人物、場所などを特定されぬよう脚色されている。


現代百物語シリーズを読んでいると、岩井志麻子さんによって語られたい怖い話が、岩井志麻子さんのところに集まってきていることに毎度驚かされる。

この現代百物語シリーズは、どれも99話とあとがきという構成だから、すでに600話以上が語られている。

語れている話は、国内でのものに限らず海外で経験した話もあることから、その国ならではの価値観などにも触れる話もある。

本書で、恐怖の感じ方などについて、下記の記述が印象的だった。

 恐怖にはいろんな分類があるが、有名なものとして「有るはずのものが、無い」「無いはずのものが、有る」というのがある。

どちらが怖いかは、人によって異なる。

「現代百物語 妄執」本文より抜粋

恐怖の感じ方にばかり気が向いてばかりいたが、上記の記述を読み、私はどちらが怖いのだろう、と考えてみた。

私は、無いはずのものが、有る方が怖い。有るはずのものが無いのだったら、気のせいだったかも、で済ませられるような気がする。けれども、そこに無いはずのものがあることに気づいた時、嫌な気持ちになりそうだな、と思った。

また、本書では相変わらず生きている人間の怖さがいくつも語られていた。ある女性の職場での人間関係の怖い話に登場する女性が、私が以前の職場で似たような人間関係のトラブルに巻き込まれた相手と共通点みたいなものがありすぎてゾッとした。

そして、怖い話というのは、本当に別の怖い話を引きつけるんだな、と思った。