”初読はミステリ、2度目はホラー”という、作品紹介が気になり、「予言の島」澤村伊智著を読んだ。
ちなみに、これは現時点では初読後に感想を綴っていることを、ここに記す。
さて、本作品は、主人公が幼馴染たちと”あること”を目的にして、瀬戸内海の霧久井島へと行くことにより不気味で、悲しい出来事に巻き込まれていく。主人公たちが巻き込まれていく出来事は、かつて名を馳せた霊能者が残した予言になぞられてもいるようで・・・といったところだろう。
本作品を読んでみると、ホラーやミステリ要素のほかに、都会の人が憧れる良き田舎の風景、人々の姿、というものは、どこかの企業が観光や旅行などのプロモーションの為に都合良く切り取ったり、くっつけたものなんだな、ということがよくわかる描写があった。これの描写が、フィクションかどうかはさておき、そういうものが現代ではSNSなどを通じて行われているかもしれないことは容易に想像できるだろう。
また、本作品では、前述の予言を残した霊能者の孫が作中に登場するのだが、霊能者がテレビ番組や雑誌などで持て囃された頃の裏側などを語るところが、幼い頃にテレビ番組などで見かけたものを思い出すような懐かしい気持ちの傍らで、大人の都合も想像され、なんとも言えない気持ちになった。
あまり多くを語ってしまうと、ネタバレにもなりかねないので、ギリギリのところまでしか語れないのが少し歯がゆいところだけれども、ミステリやホラーというものこそネタバレは避けたい。ネタバレさえなければ、最後の最後まで抜かりなく楽しめる作品が、この「予言の島」のはずである。
余談ではあるけれど、少し間を置いてから2度目を楽しみたいと思っている。